🚩3/18-3/22 読書期間
『幻夏』
太田愛さん
今年に入ってから初読み作家さんが増えた気がします。
インパクトのある社会派ミステリー小説でした!
〜あらすじ〜
1人の少年相馬は弁当屋で転校生だった兄の尚、弟の拓に出会います。
それから3人は秘密基地でお弁当を食べたり尚、拓の母親香苗と爪楊枝で漢字を覚えたり次第に仲良くなります。
新学期になり尚拓相馬の3人で登校しますが、尚は忘れ物をし学校から引き返します。
その後尚が失踪してしまいます。
川で尚のランドセルが見つかりますが、失踪した当日は金曜日だったのにも関わらず、土曜日の時間割が入ってました。
現場に残されたのは尚の所有物と
//=| スラッシュスラッシュ=
バーティカルバーという謎の文字。
それから時が経ち23年…
相馬は刑事の交通課となってました。
相馬の友人興信所に勤める鑓水の元に尚の母親である香苗から尚の捜索を頼まれ300万円と鍵を預かることに…。
相馬は自分自身の過去である尚が失踪するまでの時間をしっかり記憶してました。
そんな中で少女誘拐事件が世間で騒がれていましたた。その調査をしている内に尚との事件との関連性が少しずつ見えていきます。
尚の父親は殺人犯であると言われていましたが、実は冤罪でした。
冤罪で解放されますが父親は家族にも再開せずに坂で亡くなってしまいます。
尚が失踪したのは父親が亡くなった数日後でした。
*読んだ後にここにもっと注目してれば分かるかもしれなかったと思う作品に出てくるキーワード
//=|
尚の時間割
拓がニュースを見て真っ青になった理由
科捜研の男
机から出てきた年賀状
時間のズレなど
読了後にこんなにヒント隠されていたことに驚きました。
自分は何が真実で何が真実でないのか、分からなかったのと同時に最終頁まで話の展開が読めませんでした。
一言で言うと切ない…というのが率直な感想です。
弟の拓は大人になるまで事実を知らずに心がズダズダになってしまう所に胸が非常に傷みました。
尚の親切であるのも分かるし、
もしあの同時に自分が居たら尚の様に冷静で、大人の対応が取れずに逃げ出してしまうと思います。
解説で冤罪というのが現実にもあることに非常に驚きを感じました。
その当事者が苦しめられるのは勿論ですが家族も苦しめられることになるのが一番辛いことだと思います。
この作品を読んでそれを改めて実感させられました。
印象に残った作品の一部
・圧倒的に強い相手と戦う時は相手を近づけちゃ負けなんだ。遠くからやっつける。
・人と違うことをマイナスかプラスに捉えるのは本人次第である。
・話を聞くときは相手が忙しくしている時を選ぶこれは聴取のひとつだ。特に用がなく落ち着いている時大抵の人間は話をする前にこう考える。話を聞きたいという人間は果たして信用出来るのか。話をしたことで誰かに迷惑がかからないか。結果鼻先で扉を閉められることになるのだ。
・世間は力を持つ人が行使を容認する。スポーツであろうと企業であろうと司法であろうと勝つこと、利益をあげること、犯罪者を罰すこと大きな結果を上げるには目を瞑らざるを得ないこともある。
・構造というのは積極的であろうと消極的であろうと世間がとりあえずは世間では取り敢えずは望む形で安定している、いわば「状態」にすぎない。
素敵な作品でした。