🚩3/27-3/28 読書期間
『わたしをみつけて』
中脇初江さん
感動小説が読みたくて、本屋さんで探し回っていた作品でしたが、取り扱っている店舗が中々見当たらず、レアな作品です…。
中脇初江さんは初読み作家さんです。
舞台は病院 主人公は准看護師さん弥生
彼女は産まれて間もない頃に母親に捨てられ施設に入り育ちます。
それまでいい子を演じ過ごしていましたが、本当に自分が必要とされるのかと人を試します。
新しいお父さん、お母さんを試し花瓶を投げつけます。
「全然いい子じゃない」
と2人に言われた弥生はいつからかいい子を演じ続けていました。
医療現場でも院長の機嫌を損なわないようにと“いい子”を演じていました。
ある日仕事帰りで犬を散歩している人に声を掛けられます。彼は菊池さんいう人でアパートに住んでいる子供が虐待に合っているのではないのかと疑います。
弥生はこの時自分のことだけしか考えることが出来ず、他人のことなど考えられませんでした。
ある日菊池さんが健康診断で異常が見つかり弥生と職場で遭遇します。
彼はボランティア活動をしていたのもあり見舞客が多かったのでした。
''入院と葬式は人生の総決算"
作中から見つけ成る程なと!
菊池さんという知り合いが入院したことにより弥生が少しづつ変わっていく姿が分かります。
つまり他人にも気遣い出来るようになっていきます。
弥生は1人の患者さんに心から向き合うようになり、本当の自分を菊池さんに打ち明けるのでした。
幼い頃に捨てられ自分の誕生日も親も知らない
そんな境遇で育っても見知らぬ誰かに祈られて生まれてきているんだということが分かりました。 菊池さんみたいな人に自分もなりたいです。
*印象に残った言葉*
・ひとはみんな同じ。今までにやったことを繰り返す。慣れたことを繰り返す。その方が楽だから。
・みんな覆って隠したほうがいいことだってあるのだ。見えないものは見なくて良い。
・末期ガンの患者さんてどんどん暗くなっていくの。だから世話をする私たちは笑ってないといけない。見えるの、どんどん暗くなってその闇にのみこまれていくのが。だから笑って光を当ててあげるの。闇にのみこまれていかないように。
感動というよりも成長が感じられる作品でした。
🚩3/23-3/26 読書期間
『共震』
相場英夫さん
私が今まで読んだ中で相場さんは2作品目になります。
さすが相場さん自身が元ジャーナリストさんだけあってリアルに描くのが上手いので作品に釘付きで目が離せなくなります。
作品ではこの災禍を利用し、悪党を働き、人に信頼されていた県庁を殺害するといった恐ろしいものでした。
義援金詐欺…そんなのあるのかと。
ネタバレになってしまうので詳しいことは書けませんが相馬さんの作品は何かと考えさせられ、曖昧に話を進めない所が良い所だと思います。
というのはこのストーリーが他人事だと思えないからです。
3.11
つい最近身近におこった災禍の襲来。
決して忘れてはいけない、風化させてはいけないものだと思います。
7年経った今も苦しんでいる人はいますし、被災地で家族を失った方々の思いを考えると胸が痛いです。復興とは周りが思い込んでいるもので、実状は分からないものです。
実際作家の相場さんも被災地に足を運び、多くの人に伝えために本にすることに決めたそうです。
私は東京の人間で当時はテレビで情報を得ていましたが、相馬さんが描いたものは、自分が想像していたよりも壮絶なものでした。
もうあれから7年と考えると時は早く感じます。
復興と20年に開催されるオリンピック、
もしかしたらオリンピックの方が立ち上げが早いのではないかという筆者に問いかけに考えさせられてしまいました。
募金でも何でも自分に出来ることはしていきたいと感じました。
🚩3/18-3/22 読書期間
『幻夏』
太田愛さん
今年に入ってから初読み作家さんが増えた気がします。
インパクトのある社会派ミステリー小説でした!
〜あらすじ〜
1人の少年相馬は弁当屋で転校生だった兄の尚、弟の拓に出会います。
それから3人は秘密基地でお弁当を食べたり尚、拓の母親香苗と爪楊枝で漢字を覚えたり次第に仲良くなります。
新学期になり尚拓相馬の3人で登校しますが、尚は忘れ物をし学校から引き返します。
その後尚が失踪してしまいます。
川で尚のランドセルが見つかりますが、失踪した当日は金曜日だったのにも関わらず、土曜日の時間割が入ってました。
現場に残されたのは尚の所有物と
//=| スラッシュスラッシュ=
バーティカルバーという謎の文字。
それから時が経ち23年…
相馬は刑事の交通課となってました。
相馬の友人興信所に勤める鑓水の元に尚の母親である香苗から尚の捜索を頼まれ300万円と鍵を預かることに…。
相馬は自分自身の過去である尚が失踪するまでの時間をしっかり記憶してました。
そんな中で少女誘拐事件が世間で騒がれていましたた。その調査をしている内に尚との事件との関連性が少しずつ見えていきます。
尚の父親は殺人犯であると言われていましたが、実は冤罪でした。
冤罪で解放されますが父親は家族にも再開せずに坂で亡くなってしまいます。
尚が失踪したのは父親が亡くなった数日後でした。
*読んだ後にここにもっと注目してれば分かるかもしれなかったと思う作品に出てくるキーワード
//=|
尚の時間割
拓がニュースを見て真っ青になった理由
科捜研の男
机から出てきた年賀状
時間のズレなど
読了後にこんなにヒント隠されていたことに驚きました。
自分は何が真実で何が真実でないのか、分からなかったのと同時に最終頁まで話の展開が読めませんでした。
一言で言うと切ない…というのが率直な感想です。
弟の拓は大人になるまで事実を知らずに心がズダズダになってしまう所に胸が非常に傷みました。
尚の親切であるのも分かるし、
もしあの同時に自分が居たら尚の様に冷静で、大人の対応が取れずに逃げ出してしまうと思います。
解説で冤罪というのが現実にもあることに非常に驚きを感じました。
その当事者が苦しめられるのは勿論ですが家族も苦しめられることになるのが一番辛いことだと思います。
この作品を読んでそれを改めて実感させられました。
印象に残った作品の一部
・圧倒的に強い相手と戦う時は相手を近づけちゃ負けなんだ。遠くからやっつける。
・人と違うことをマイナスかプラスに捉えるのは本人次第である。
・話を聞くときは相手が忙しくしている時を選ぶこれは聴取のひとつだ。特に用がなく落ち着いている時大抵の人間は話をする前にこう考える。話を聞きたいという人間は果たして信用出来るのか。話をしたことで誰かに迷惑がかからないか。結果鼻先で扉を閉められることになるのだ。
・世間は力を持つ人が行使を容認する。スポーツであろうと企業であろうと司法であろうと勝つこと、利益をあげること、犯罪者を罰すこと大きな結果を上げるには目を瞑らざるを得ないこともある。
・構造というのは積極的であろうと消極的であろうと世間がとりあえずは世間では取り敢えずは望む形で安定している、いわば「状態」にすぎない。
素敵な作品でした。
🚩3/8-3/17 読書期間
『ラプラスの魔女』
東野圭吾さん
中学の時東野さんの「流星の絆」を読んだのが初めてでその時はあまり印象的じゃなかったのですが、
数年たった社会人になってから読んだ時…
この人の作品面白い…
と思うようになりました。
そんな中で今回読んだラプラスの魔女。
これもまあ理系の脳が無い私には全く先が読めず…最後まで展開が読めませんでした。
主人公はラプラスの魔女の円華ちゃんで
彼女は特殊能力を持ち物理学に詳しい…
ある時数学研究所にいた円華ちゃんが失踪します。
そんな中温泉街で硫化水素ガスで死亡する人が相次ぎ、なぜかその現場に円華ちゃんがいることが分かります。
彼女はいったい何者なのか!
真相を掴むまで最後まで目が離せません。
「攻撃の矛先が見つかれば我先にと攻めたてる。自分では何も生み出さず何も考えず何一つ責任を取らず、自分の思う通りにならなければ不平を口にするだけの人間にどんな真実を作り出せるというのだ。」
作品のある一部分です。
なるほどなと。
人間て自分も含めてそういう所があると思います。この文章に思わず共感してしまいました。
ただこれを言ったこの作品に出てくる人物には共感出来ませんでしたが。
この作品を読み、人に共感することを大切にし、今いる周りの人の力は何より偉大なんだと感じました。
ラプラスの魔女になりたいとも思いましたが、
先が見えない方が意外にも幸せなのかなと思いました。
今を大事にしていきたいです。
🚩3/1-3/7 読書期間
『青くて痛くて脆い』
住野よるさん
住野さんの5作目です。
住野さんの作品に登場する主人公は控えめなタイプでとても惹かれます。
控えめで、自分から行けない部分を何故か自分と重ねてしまったり…。笑
今回は大学生の話です。
主人公は楓という男の子です。
ある日大学の講義でずば抜けた発言をした秋好と出会い仲良くなります。
ある日、理想主義の組織をつくろうと楓と秋好はモアイという組織をつくります。
最初は2人だけでしたがやがて名が知られるようになり大きい組織になっていきます。
楓は理想と違うモアイを秋好がつくっていると不満を持ち始めモアイを抜けることに。
秋好は一体何を考えているのか…。
そう思い始めた楓はモアイを貶め、秋好に現実に向きあってもらい元のモアイに戻したいと考え始めます。
楓はモアイが企業に、個人情報を渡している情報を掴み行動にうつします。
やがて楓の行動はエスカレートしていきます。
楓の行き過ぎた行動が結果的に彼女を傷つけることになってしまいます。
いたい。
読み終えた後思わず口に出してしまいそうでした。
人は孤独では生きられない、誰かを利用してしまいます。それでも人を傷つけることは絶対にいけないと思います。
主人公2人はお互いに自己顕示欲が強くぶつかってしまったのです。お互い非を認め駄目な部分は人から教わり補うことで人は成長出来るのだと改めて思い知らされた作品でした。
🚩2/22-2/28 読書期間
『震える牛』
相場英雄さん
中野の殺人事件から繋がる食品偽装問題。
自分は少しでも安い商品を買い求める為にチラシなどで情報を得て店舗に足を運んでしまいます。
“安い商品には理由がある”
自分はこの作品を読んで、少しでも高くても良いから安心といえる食材を口にしたいと思ってしまいました。
いやこの作品を読んだ読者がみなそう考えてしまうと思います。
こんなに衝撃的な社会派警察小説を読んだのは初めてだったので。沢山考えさせられました。
このような現状が実際に潜んでいたら怖いです。
安い肉が雑巾に例えられていて…なんとも言えなくなりました。
🚩2/18-2/21 読書期間
伊吹有喜さん
初めて読む作家さんです
感動長編という言葉に惹かれ思わず手に取ってしまいました。
主人公はバスの運転手利一。
彼には娘の彩菜、息子の玲司がいました。
奥さんである美雪とは離婚しています。原因は姑とのごたごたや夫と関係の悪化。
志穂という新しい彼女がいましたが、離婚後16年ぶりにバスで美雪に再会してしまいます。
その後家族との時間がまた巻き戻され利一の心に再度迷いが生じてしまいます。
☆たとえ今が夜先が見えない暗がりにいたとしても…走り続けた先には必ず朝が待っていると。
この作品の登場人物はそれぞれ悩みを抱えていますが、最後にはそれぞれが道を切り開いて進んでいくところに心うたれます。
作品の続きがあるならば…
利一さんは志穂さんと幸せになって欲しいです。
たとえ、白鳥さんが無くなったとしてもバスの運転手を続けいて欲しいなと。
個人的な意見でした!