🚩6/1-6/3 読書期間
「怒り 下巻」
吉田修一さん
上巻に引き続き下巻でした。
八王子の凶悪事件の山神一也は誰なのかが下巻で明らかになります。
指名手配で貼りだされ、あらゆる場所から山神に似た人物を見たと…通報があります。
作品では三つの話で構成されています。
下巻では…
・優馬の家に居候している男、直人。
・洋平の元で働くバイトの男、田代。
この3人が山神なのではないかと周りが疑いを持ち始めます。
この疑いにより、幸せだった周りの生活も一編してしまいます。
真実は…ネタバレになってしまうので書けませんがこの人が山神、なのかと驚かされるのと同時に、なんとも言えないモヤモヤ感が押し寄せてきました。
どうして人は確信もないのに直ぐに疑いを抱いてしまうのか…と思ってしまいました。
人を信じていればこんなことにはならなかったのに、、 信じていたのに、裏切られた…
このことに主人公達は後から気づくのですが、それはもう手遅れで、大切な人をうしなってから事の重大さに気づくのです。
八王子の殺人現場に血で残された“怒”の意味
この意味は最終的には作中では明かされません。そして読者の私も本当の“怒”の意味は分からず終いでした。
私個人の解釈ですが、作品の題名となる“怒り”の意味は、犯人が感じた怒りではなくて、心から信じていた人に裏切られた時…殺せざるをえなかった主人公の怒りと人を信じられなかった主人公の怒り両方の意味が込められているのではないか、、と感じました。
信じるのとは何なのでしょう…。
“信じる”とは簡単に口には出せるけれど、この作品を読み“信じる”という言葉の難しさを感じました。
初めて読んだ作家さんでしたが人間ドラマが面白いのと同時に事の重さに色々と考えさせられました。
“怒り”に続き人気の作品“悪人”も読んでみたいです。