🚩4/7-4/9 読書期間
『おまじない』
西加奈子さん
西加奈子さんはどちらかというとあまり読まない方でした、、
西さんは長編のイメージが強かったので、
短編と聞いて思わず購入してしまいました。
8編あるのですが、、
どれもジーンと来てしまいました。
まさに"傑作"ですね。
1番印象に残ったのは"孫係"でした。
この短編集はすべて女の子が主人公になっているのですが、孫係に出てくる主人公の女の子すみれちゃんというのですが、共感出来る部分が多くて、思わず自分と重ね合わせてしまう程でした。1人になりたい時ってあるよねって。
言葉の力って凄いなって、、
冷え切った心をポカポカにしてくれるような魔法の言葉と自分を受け入れてくれるような素敵な主人公たちに出会えました。
主人公は皆なんらかの孤独をかかえてて、
口には出せないけれどそれが凄く共感出来て、
1人じゃないんだって、そうだよね、頑張ろうって気持ちになれました。
*印象的な言葉〜作中より
☆孫係
・係だと思ったらなんだって出来るのです。
・大抵はその場にあった自分らしくなっていくのです。
・私たちのすべてが自分の意志で動くわけではないのです。何か大きなものに動かされているのです。それを社会というのかもしれません。ゆだねられることはゆだねましょう。私たちはこの世界で与えられた係なのだから。
・皆根はいい子だそれをいかに態度にあらわせるかだ。
・正直なことと優しいことは別なのだ。
・悪態をつくのは限られた人だけです。
本当に信じられる人だけです。インターネットに書きこむなんてもってのほかそれは本当に卑怯なことです。とにかく本人に目にふれる、耳に入る可能性があることは絶対にすべきでない。
・得をしようと思って係につくのはいけません。あくまで思いやりの範囲でやるのです。
その人が間違ってると思ったら、そしてそれを言うことがその人のためになるのなら言わなければならないし、相手を傷つける覚悟を持って対峙しなければならない。その人が間違っていないとき、ただ合わないとか役割的にそうせざるをえないんだなあと分かる時はその人の望む自分でいる努力をするのです。
・いい子でいようとすることはとても偉いことなのです。それは涙ぐましい努力だし、いい子のふりではなく本当にいい子だから出来ることなのです。
☆オーロラ
・オーロラはいつも生まれ続けているのだ。戻ってくるのではない。戻って来るのはあなただから。
☆マタニティ
・自分が弱い人間だなんてはっきり自覚したら強がっていた時より生きやすくなったのです。自分の弱さを認めたら逆に強くなれたのです。
・へいへいという挨拶はフィンランド語の挨拶であり、より親密になるともいもいと言うそうだ。
・誰かが誰かを祝福する時どんな含意があろうとも『おめでとう』というその五文字の発するその美しさは、独立してそこにある。何も汚されないその言葉のもつ美しさは絶対に消えないし汚されないはずだ。
☆おまじない
・何にも染まったらあかん、普通が一番や普通であり目立たんようにしとったらあかんものはつかへんからな、
・まじないや縁起なんてな自分で決めるもんなん。だってな自分が幸せになるためにあるもんやろ?それに囚われりなんておかしいやんか
・ヨウヨウオンゴーオマモリヨはようようおなごをお守り下さいという意味なんや
・お前がお前やと思うお前が、そのお前だけが、お前やねん。
お前が決めていいねん。
…
書ききれない程素敵な言葉が詰まっている作品でした。道に迷った時に何度でも読み返したくなるようなそんな愛読書になりそうです。