*my小説日記*

読書記録

🚩5/10-5/16 読書期間

 

『手紙』

東野圭吾さん

 

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もし自分が強盗殺人の家族であったら?

 

兄の剛史は弟の直貴を大学にいかせたかった。

しかし、唯一シングルマザーで働いていた母親を失い、頼りは兄しかいなかった。

 

兄はバイトをかさねていたが怪我をした為、弟の大学のお金をつくることが出来なかった。

 

そこで、一人暮らしの老人を狙い強盗を働くが老人に見つかってしまい殺してしまうのだ。

 

弟思いの兄といっても、ここまですることかと。

 

被害にあった家族の苦しみ。

世間から殺人犯の弟というレッテルを貼られ、世間から冷たい目でみられる弟。

 

仕事、恋愛、趣味、人間関係、などあらゆる場面で苦しみ生きていかなければならない。

 

一言で言うと…

 

重い。

 

服役中の兄の手紙、読んでるうちに怒りが湧いてくる。

 

〜作中より〜

人には繋がりがある。それは愛だったり、友情だったりするわけだ。それを無断で断ち切るなど誰もしてはならない。だから殺人は絶対にしてはならないのだ。そういう意味では自殺もまた悪なんだ。

 

自殺は自分を殺すことなのだ。たとえそれが自分が良いと思っても、周りのものもそれを望んでいるとは限らない。

 

君のお兄さんは自殺したようなものだよ。

 

社会的な死を選んだわけだ。しかしそれによって残された君がどんなに苦しむのかを考えなかった。衝動的では済まされない。君が今受けてる苦難もひっくるめて君のお兄さんが犯した罪の刑なのだ。

 

 

差別や偏見のない世界。そんなものは想像の産物でしかない。人間というのはそういうものっつき合っていかなきゃならない生き物なのだ。

 

 

もし罪を犯した人が身内にいたら、、

そんなことは自分には関係ないことだと人は考えると思います。

 

しかし東野さんの手紙を読み他人事とは考えられなくなり、弟の直貴に感情移入してしまう程でした。

 

犯罪による影響は広範囲に及ぶということ。

 

 

どこか、悲しく重いテーマでしたが、手紙を受け取った被害者や弟の気持ちを考えると…密かに読者の胸を打つ作品でした。