🚩7/23-8/6 読書期間
『ファーストラヴ』
島本理生さん
直木賞を受賞され作品で気になったので手にとってみました。
臨床心理士の由紀はある事件を題材としたノンフィクションの執筆を依頼されます。
その事件とは…
アナウンサーを目指していた女子大生 聖山環奈
がなんと、自分の父親を殺害してしまいます。
由紀は環奈と面会し対談するのですが、彼女の性格から「本当に環奈が父親を?」という疑問が。
環奈の父親は絵の先生をしていましたが、彼女の父親は少し変わった性格をしていました。
父親は環奈を絵のモデルにさせていたのですが。なんと、周りは男の人しかいなかったとか。 また、絵のモデルをやらないと、戸籍を抜くとも脅されていたのです。これは単なる虐めですよね。
こんな状況の中でも、母親は見て見ぬふりをしていたのです。
環奈はいい子を演じ続け、最終的に自分を壊してしまったのです。
臨床心理士の由紀と弁護士である由紀の旦那さんの弟迦葉が環奈の周りに聞き込みを行い、環奈が父親を殺害した真相を明らかにします。
環奈の過去を知る内に、実は臨床心理士の由紀も過去に辛い経験をしていたことが分かります。読んでいる内に自然に二人を重ねてしまったりと…。
ですが、旦那さんの我聞さんに出会えたお陰で由紀は大分救われたのだと感じました。
この事件で、環奈は由紀と出会い本音をぶつけ本当の自分を取り戻していくのです。
〜作中より〜 ----------------------------------------
今を変えるためには段階と整理が必要なのだ。見えないものに蓋をしたまま表面的には前をむいたように振る舞ったって、背中に張り付いたものは支配し続ける。
なぜなら「今」は、今の中じゃなく、過去の中にあるものだから。
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人の心は脆く、傷ついた心を簡単に再生することは難しいことです。良い大人→本当に信頼することが出来、愛情を与えてくれる大人がいることで人の心は救われるのではないかと感じました。
少し重い作品でしたが、これが直木賞作品かと感じさせられる一冊でした。
読むのに時間がかかってしまいました(TT)