🚩7/14-7/22 読書期間
『父からの手紙』
小杉健治さん
初読み作家さんです。
本屋にて“隠れ名作”で“書店員さんが全力で薦める作品”という文言に惹かれ迷わず購入しました。
全力で泣けます。
グッと来る言葉が沢山詰まっています。
毎年誕生日に父から手紙が届きます。
しかし父はいません。
父は母と離婚し知らないどこかに住んでいるとのこと…。
ですが、手紙には娘、弟のことを遠くから見守っていると綴られていました。
娘には結婚相手がいたのですが、相手の旦那さんが、なんと遺体で発見されるのです。
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圭一には兄がいます。
圭一と兄は腹違いでした。
兄は義姉の浮気により焼身自殺を図ります。
圭一は目撃者であり、事件直後義姉は外に居ました。しかし家の扉は全て閉ざされていました。
焼身自殺を図るならば、義姉も一緒に無理心中するのが普通だと考えます。
この謎に犬塚という悪徳刑事が真相を暴きます。事件当日兄が焼身自殺を図った後兄と義姉意外にもう一人居たとか…
圭一は理由も分からずに犬塚刑事を殺害してしまうのです。
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2つの話が交互して進んでいくのですが、
やがて後半に娘と圭一が繋がります。
そこで明らかになる真相に、思わず涙してしまいました。
余韻に浸り過ぎてもっと色々と書きたいことがあるのですが、ネタバレになってしまうので、ここで止めておきます。
**父の手紙でグッと来た言葉**
・人間の幸福は困難を乗り越える勇気を持つことにあるのです。逆境こそ自分を育てる絶好の機会なのです。
・常に胸に希望を持ち続けて下さい。心に美しき夢を持った人間は決して困難に負けません。青春は挫折の連続かもしれません。でも夢さえ持っていればきっと幸福が君を待っているはずです。
・自分が正しい行いをしていれば、必ず不幸を退散することができます。それでもまだ不幸が力得ている時もあるでしょう。さらに不幸と闘うことです。希望は最大の力です。試練を乗り越える力こそ幸福そのものです。試練に負けてはいけません。試練に立ち向かっていく勇気を持って下さい。君が幸福になれば、周囲も皆幸福になるのです。
・人間の幸福は何事もなく平穏無事に過ごすことではありません。そこには喜びもそして自身の成長もありません。人生には必ず困難が立ち塞がります。それは避けても通れません。人間の幸福は試練を乗り越える強い心を持つことにあると思います。どんな困難にも怯むことなく、勇気を持って立ち向かって行って下さい。行動あるのみです。
・人生の目的は財産、地位などを得るためではない。それを得たから幸福だということではない。いかなる困難や試練にも負けず生きていくことにあるのだ。
〜作中より〜
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一言で感想を言うとすれば、、
人の幸せは、自分の幸せを見つけてからでないと周りは幸せになれないんだと思いました。
例えそれが思いやりだとしても、自分の幸せを疎かにしてしまうと後々、周りを苦しめることになるということです。
この作品を読んだ後にはいたたまれない気持ちになってしまいましたが、父からの思いが感じられる温かい作品でもありました。