*my小説日記*

読書記録

🚩7/5-7/8 読書期間

 

『悼む人 下巻』

天童荒太さん

 

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上巻に続き下巻です。

 

静人倖世という女性に出会い一緒に旅を続けますが、冷静な静人に変化が見られます。

 

倖世は静人に夫朔也を殺してしまった過去を明かします。しかし、倖世の肩には朔也が取り憑いたままでした。

 

「自分の執着を徹底して貫けば、他者との愛と見分けがつかなくなる…」

 

静人は朔也と話をします。

 

静人は倖世に出会ってから様々な感情に押し潰されそうになっていたのです。

 

上巻で静人の母親が危険な状態でしたが、下巻では恐れていたことが…。

 

 

静人帰ってきてあげて…と終始祈るばかりでした。

 

 

静人の悼みの行為は宗教じみていて、不審に思われていました。

 

人間の記憶は不思議なものである程度の時間が経つと忘れてしまいます。

 

彼は大切な親友を失いましたが、彼の命日を忘れたことがあったことを長い間気にとめていました。

 

かつて生きていた人を忘れない為に生きていた証を彼の胸に刻む。ノートにも残す。忘れないための儀式でもあると感じました。

 

静人の行いは、決して無駄なことではなく愛を与え、感じるものでした。

 

重い話でしたが、静人の悼みが自分の胸にも刻まれました。忘れられない作品になりそうです。