🚩5/7-5/9 読書期間
『スマイルメイカー』
横関大さん
横関さんの作品は『沈黙のエール』に引き続き2作品になります。
今回も激しく感情を揺さぶられました。
舞台はニューヨークです。
私はずっと日本が舞台になっていると勘違いしていました。
タイムズスクエアという場所がなんと終盤で出てきてあれ…と思い、イエロcab、タイムズスクエア!ニューヨークなのか、、ということが明らかになりました。
主人公はタクシー運転手の五味さん、
彼は素晴らしい心の持ち主で、乗せた人を笑顔にするスマイルタクシードライバーなのでした。
彼のタクシードライバーの仲間に景子さん、袴田さんという2人も登場します。
ある時、五味さんは13歳の男の子を乗せるのでした。
しかしその男の子は厄介なお客さんさんで、
まさかの強盗犯だったのです…。
しかもその男の子有名な弁護士の息子さんで、家出をしてきたというのです。
五味さんは頭を悩ませます。
そして男の子に振り回されます。
景子は乗客に警察から婦女暴行で保釈されたばかりの男性弁護士、袴田は急ぎの乗客女性弁護士のを乗せます。
実はこの乗客たちも訳ありです。
その訳ありの乗客たちを笑顔にする為にスマイルタクシードライバー五味が物語をあらゆる方向に進めていくのです。
タクシーって中々使う機会がないですが、ここまで気を配れるドライバーさんは居ないと思います。
最近はカーナビも普及し、もしかすると、今後はAIが発達し、人が運転しない時代来るのかもしれません。
そんな中で五味さんは道は機械で教えられるのではなく、自分の五感で覚えるものだと言っていました。長年の経験もあり、網目のように張り巡らされた一本一本の道筋が頭に入っているって凄いことですよね。
この作品を読んで初めて知ったのですが、タクシーの起源は馬車だったんだそうです。
馬車は昔移動手段として利用され、都市機能が発達し始めると、荷物や人を運ぶようになりそれから営利目的として乗った人からお金をとるようになったみたいです。
日本では様々な理由で馬車は浸透しなかったみたいですが…。
こういう豆知識も勉強になります。
五味さんが居酒屋に行くシーンがあるのですが、そこでのアルバイトのトムとの会話が面白くて思わずクスッと笑ってしまいました。
トムは日本語があまりにも下手なのですが、
諺だけは得意なようで、その諺が印象に残ったのであげてみます。
→幸せや災いというのは予想ができないものだ。幸せだと思っていたものが不幸の原因になったり禍の種だと思っていたのが
幸運を呼び込むことがあるということ。
待てば海路の日和あり
→今は思うようにいかなくても、じっと待てばそのうちにチャンスがめぐってくる。だから辛抱強く待てということ。
果報は寝て待て
→幸運は人力ではどうすることもできないから、あせらないで静かに時機(時期と機会)が来るのを待て。次に備えておきなさいということ。
次に乗ってくるお客さんはどんなお客さんだろう?次に向かう場所はどんな場所だろう?そんな緊張感を持ちながら街をひた走るのがタクシードライバーの仕事だという一説に思わず憧れを抱いてしまいました。
簡単にはできない仕事だと思いました。
五味さんは自分の笑顔をつくることが出来ません、その理由に涙涙です。
最後まで五味さんはお客さんを笑顔で送り出すことが出来るのか、そして五味さん自身は笑顔を取り戻せることが出来るのでしょうか。
ほっこり、涙、笑ありで終盤にはまんまと騙されます。
今回も横関さんにやられた感ありの作品でした。