🚩5/5-5/6 読書期間
『青空のむこう』
アレックス・シアラーさん
“死後の世界”とは…?
そんな些細な疑問を誰もが抱いたことがあるのではないかと思います。
その些細な疑問を交通事故で亡くなった少年ハリーがその答えまで読者を導いてくれます。
“死んだら楽になれる”と考える人も居て、自ら命を失う人も少なくありません。
この作品では、生きてる間の世界を生者の国、
死後の世界を死者の国、死者がその後に向かう場所を彼方の青い世界と表現しています。
普通なら死者は彼方の青い世界に向かっていくのが一般的なのですが、主人公のハリーはやりのこしたことがあり、生者の国へ戻ってしまいます。勿論幽霊として。
ハリーは交通事故に遭う前にお姉さんのエギーと喧嘩をしたまま亡くなってしまったのです。
当たり前ですが、幽霊なので言葉も通じないし、相手に姿を見せることも出来ません。
エギーに何としても謝る為にハリーはあれこれと試みます。
アーサーという死後の国で出逢った少年がいます。この少年は母親を捜していますが中々見つかりません。彼もまた彼方の青い世界に行けない1人でもありました。
未練を残した幽霊たちが何人も出てきます。
中には悪い幽霊もいたり…。
映画館が涼しいのは多くの幽霊たちが居座っているからという一説が出てくるのですが、これには思わずゾッとしてしまいました。笑
自分が居なくなっても世界は動き続けます。
死んだら元の世界には戻れません。
待っているのは孤独だけです。
もし自ら命を絶とうとしている人がいるなら迷わずこの作品を読んで欲しいです。
汝の怒りの上に日を沈ませてはならない。
作中より〜
つまり、誰かに腹を立てたり恨みをもったまま眠りについてはいけないという意味です。
相手が愛人であれば尚更で、やりのこしたことに思いっきり取り憑かれてしまうからです。
一日を穏やかに終わらせて眠りにつくのが一番ですね。
*印象に残った言葉*
・僕はそんなに強い人間じゃないけど、そうならなくちゃと思うと強くなれる。ときには強くなることも必要だ。たとえ少し傷ついても後でもっと傷つかない為にそうならなくちゃいけない。
・目は多くを語る
・物事ってそんなものだと思う。夢が叶うときにはもう自分の夢は別の所にある。
・おかしなことだけど、しつこくまとわりつかれるとその相手が早くいなくなってくれればって思うのに、いざいなくなると、嬉しいどころか淋しくてたまらなくなる。
→これには凄く共感出来るものがありました。
彼方の青い世界に行った後には、前半の頁に出て来た言葉で言うとリサイクルということになります。
最終章の彼方の青い世界にハリーが向かうシーンに涙を堪えずにはいられませんでした。
今年読んだ中で一番感動した作品でした。